神奈川県立四季の森公園(土壌動物観察)
2002年6月22日(土)     →徒歩
中山駅→神奈川県立四季の森公園
参考文献:『自然を調べる』原田洋 監修 木馬書館
       『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』浅間茂、石井規雄、松本嘉幸 共著 全国農村教育協会

JR横浜線中山駅より徒歩で10分ほどのところに県立四季の森公園がある。
住宅街を通って公園に入るまでの道の街路樹はコブシで、まだ緑色だがにぎり拳(こぶし)のような実を
つけていた。公園の北口から入っていき、池に沿って歩いていく。池にはカルガモがいた。亀が泳いで
いるのも見えた。コスモスの葉にツバメシジミが留まっていた。ネムノキにはきれいなピンクの花が。ち
ょうど下の方の枝に花がついていたので間近に見ることができた。

                            
                ツバメシジミ                       ネムノキ

あし原湿原沿いを歩き、不動の滝方面へ歩き、林床一角から50cm
×50cmの範囲の土壌を深かさ5cmほどビニル袋に採取した。土壌
採取の目的は環境と相関のある土壌動物群を調べて自然の豊か
さを調べることで、いずれ観察会を開けるように練習も兼ねてい
る。肉眼で目視できる大型土壌動物をA(5点)、B(3点)、C(1点)の
3グループに分け、その種類が出たら、点数を記録していく。人為
的な干渉に対してAが最も敏感で弱く、Cは鈍感で強いグループ。例       土壌採取状況
えばアリが出たら、1点。アリの仲間が何種類出ても、合計点数は1点。         
個体数も数えない。点数表は、絵と大きさが書いてあるもので、合計
で32の動物群が載っている。5点のものは、オオムカデ、ヤスデ、ヨコエビなどで、3点のものはミミズ、シ
ロアリ、ワラジムシ、甲虫や蛾の幼虫などである。1点のものは、トビムシ、ダニ、クモ、アリなどである。
100点満点で満点に近いほど自然が豊かであるとする。

ベンチとテーブルのある休憩所まで土を運ぶ。テーブルに白いシートを敷き、その上にふるいをかけた
土を広げる。そこから、虫を見つけて、ピンセットまたは吸虫管で虫を捕まえて、70%エタノールの中に
放り込む。

                                                            
               虫の採取状況                   バットに広げた虫

観察しやすいように、バットにエタノールと虫を広げる。点数表と照らし合わせながら、チェックしていく。
ルーペでは細かい部分が見えにくいので、何の仲間か分かりにくかった。実体鏡は一台しか無かった
ので、見分けるのに苦労。点数表(出典:『自然を調べる』)の方は、モノクロの線画なので、『校庭のク
モ・ダニ・アブラムシ』に載っている土壌動物のカラー写真を見ながら、比較した。実際、見慣れてないと
イメージしづらいので、カラー写真は非常に役に立った。でも、もう一つ問題点があった。エタノールにつ
けると色が変わってしまうのだ。例えば、ヤスデの一種は丸まって、白く脱色してしまったので、一見芋
虫か何かに見えた。でも、やたら足がいっぱいあるので、ルーペで見ると、一節から二対ずつ足が出て
いる。一見ヤスデと思った虫をよく見ると、足は一節から一対しか出てない。ということはムカデの仲
間。というわけで、苦労しながら、照らし合わせを行った。虫たちの中でいちばん印象深かったのは、
コエビの一種
。アルコールに漬けると赤く変色した。さすが、エビ?!大きいもので体長が1cmくらいあ
るので、肉眼でもよく見える。生きている時は飛び跳ねていて、トビムシがいっぱいいると思っていた
が、『校庭のクモ・ダニ・アブラムシ』に載っているニホンオカトビムシなのではないだろうか。ニホンオカ
トビムシはトビムシといってもヨコエビ目である。近接した場所で二箇所の土を採ったが、48点と55点。
土壌動物を見慣れていないので、たぶん見落としがあるだろう。きっと、スキルアップするともっと点数
があがるだろう。

バットにいれた虫をテーブルの真ん中に置き、なぜか虫を囲んで昼食をとる。つい、ヨコエビをごはんの
上にのせてしまいそうである。後で聞いた話だが、食欲を無くしてしまった人もいたそうだ。普通はそうで
しょうねぇ。

昼食後、撤収。帰りは、公園の植物を観察しながら歩く。ちょうどアジサイが見頃だった。ミツバウツギ
が実を付けている。シナサワグルミが穂状になったの実をたくさんつけていた。エゴノキがたくさん植え
てあって、こちらも実をたわわに付けていた。果敢にも食してみた人あり。一瞬おいしいが、口の中が痛
くなったとか。エゴイ(エグイ)味がするからエゴノキというくらいだから、相当まずいのだろう。マユミの木
も比較的多く、まだ緑色だが、実をつけていた。

                        
       ガクアジサイ           ミツバウツギの実        シナサワグルミの実          エゴノキの実

しょうぶ園に行くと、ハナショウブの花は終わりかけていた。現在公園で見られる花の花粉媒介者と同
花受粉を避けるしくみをプリントしたものをリーダーのSさんにもらう。アヤメ科の花は、ハチが花にもぐ
りこむ時は柱頭が開き、ハチの体についた花粉をすくいとる。ハチが花から出る時は、柱頭は閉じ、ハ
チの体に付いた自分の花粉がつかないようにしている。そのしくみを図解した紙を見ながら、ハナショウ
ブの花を見るが、おしべがどこにあるのかイマイチ分からず。花粉を運んでもらうしくみは、面白いもの
がある。昔テレビで見て印象的だったのは、テンナンショウの仲間で、雄花には虫の出られる穴が仏炎
に空いているが、雌花には穴が無い。雄花は自分の花粉を虫に他の花まで運んでもらわなければな
らないが、雌花は、虫が自分のところに来てくれれば、他に行かなくても構わないので、出口が無いとい
う。虫は花粉を運んだのに、閉じ込められて死んでしまうのだ。残酷だが、よくできているもんだ。身近な
花がどんな戦略を持っているのか、調べてみると面白いだろう。

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